豊島エスポワールパーク

瀬戸内海に浮かぶ小さな島「豊島(てしま)」
 
人々が集い、繋がり、未来を描き、拡がっていく
希望に満ちた場所「豊島エスポワールパーク」

建築、ロゴデザイン・VI・WEBサイト等ブランディングを担当しております。

teshimaespo.com

 

 

■Project data 

期間:
対象:新築
発注者:一般社団法人 食で未来を創るアカデミー

所在地:香川県小豆郡土庄町豊島家浦字小港514他
用途:EXCANGE・EAT・STUDY/HOTEL/COURTYARD

規模・構造:
関連情報:
  PressRelease 2022年8月25日

施工:株式会社ナイカイアーキット
協力:山陽地所株式会社

「食を支える人」の幸せな人生(キャリア)のために、私に何ができるのか。
永らく温めていたプロジェクトの始まりです。食に関わるすべての人、豊島に暮らす人々や
訪れる人々が繋がって「未来の希望」が見える場にしていきたい。希望のPARK です。

一般社団法人 食で未来を創るアカデミー
代表理事(理事⾧)

福武 美津子

 

How can I suport the happy life or their career, of those who are involved in the food industry? 
This is the beginning of a project that I have long been dreaming about. I want to make this place,
a place where all people involved in food industry, people living in Teshima or visiting Teshima can connect and
envision the “Hope for the Future”. ESPOIR PARK is a Park of Hope.

 

ファインダーで
景色を切り取ってみる


すごく穏やかな島で、非日常で、なにも雑多なものがない
ここには、自分と向き合う時間がある。
静かなこの場所で内省したり、夢や希望をみつめたり語り合ったり
「こうしよう」という想いをフレッシュに感じられる場所。
「自分の希望を描いてほしい」というメッセージを
ロゴマークに託しています。

島になじむ建築

自然の循環に寄り添う
ローインパクト

豊かな水と温暖な気候の瀬戸内海に浮かぶ小さな島「豊島」へ建築予定の段々畑の土地を調査しに行った。奥まった高い場所から見た景色は、今も脳裏に焼き付いている。計画当初より、周辺の環境に溶け込み、海を眺める最高のロケーションを活かした風景を思い描きながら構想を練った。自然の中に大きな建物を建てるから、穏やかに風化し、土地に仲間入りしてくれるよう経年変化する材を選定した。そうして、建物の印象を統一することで周辺環境への緊張感も和らげている。

ただ、つくるのではなく 意味を問いながら
どういうスタンスで建築をデザインするか、深くヒアリングしながら進めていく
この施設は、今までにない用途の建物になった。分解すると宿泊施設や研修施設だが、合体していて複合的。誰のための施設か問われると、特定されない多様な人が参加し、意味や価値を広げていける無限の価値観を秘めている。そして、ソフトやイメージがどんどん変化して膨らんでいく場所でもある。
「食に携わる人が、ずっと健全にモチベーションをもって働ける場所。あるいは、そういった出会いがある場所がこれから必要なんじゃないか。豊かな社会の一端になるんじゃないか。」そんな想いの実現を手伝っていきたいと、プロジェクトは始動した。

山と海と空と土の間に、3棟の建物を配置し、間(空)を描いた。エスポワールパークのロゴマークと同様に。
場の中身を描くのはその方自身で、見え方もその人のその時その瞬間でここの景色は変わるのだと。

距離感のデザイン

居場所があり、プライベートとパブリックが混在する
一人一人の時間と、ともに過ごす時間が共存する

LOUNGE

エントランスホールを進みフロントを過ぎたら、緑いっぱいのガーデンが目の前に広がり、心地よい空間。
この場所を訪れるすべての人が、集まったり、くつろげる空間としてポップなカラーのスツールを選定した。
将来、豊島のインフォメーションや食に関わることなど、人とのコミュニケーションが深まり、活用の可能性が広がるように、建築の余白として棚を設置している。

 

INN

すべての部屋から海が見える客室は、木造ならでは木の香りに癒される。また、様々なタイプの部屋があり、空や海の見え方が違うところも魅力的。
心地よいシンプルな仕立てで各部屋ごとにコンセプトの異なる家具や設えとし、どのようなシーンでも対応できるよう、建築と家具・備品のコーディネートを一貫して行っている。

ROOF TERRACE

朝夕と穏やかで美しい瀬戸内海を一望できる、特等席のような屋上テラス。
経年変化を楽しめる木材と、安全性を保ち景観を損なわないよう存在感を抑えた手摺を選んだ。道路側の2階建ての一部をテラスにすることで、外部への圧迫感は軽減され、内部からの眺望を計画している。

 

GARDEN

解放感のある緑いっぱいのガーデンは、施設全体の余白として機能している。また、周辺環境と一体となった繋がりも感じられるため、施設全体の印象に大きく影響している。
訪れる人にとって、休憩やイベントなどの多目的に使用されることを想定している。

KITCHEN

シェフ監修の厨房設備を揃えたプロ仕様の厨房は、シェフによ
る調理だけでなく、グループや企業研修など多岐に合わせて動
線を検討した。海を一望しながら調理する経験は、他では味わ
えない特別なもの。景観を損なわないよう吸排気や照明の計画
を行った。自然を感じながら、キャリアを深く見つめることが
できる唯一無二の厨房。

 

CENTER
LECTURE ROOM

ガラス張りで光を沢山取り込み明るい室内。様々な用途に対応
できるよう空間設計を行った。
主に食事を楽しむホールには「豊島テーブル」と軽やかな印象
の廃プラスチックを使用したチェア。レクチャールームには、
可動式のパーテーションや折畳みできるテーブルや椅子を選定
している。木を基調として、緑が映えるフレキシブルな空間。

この絶景を
開かれたものにしたい

敷地のどこにいても、空と山と海がある
全部屋から、少しずつ違う角度で違う表情の海が見える
「厨房から海が見えること」は設計段階から重要視して位置づけた。
なぜなら「食で未来を創るアカデミー(通称:食アカ)」は、「豊かな未来を創りたい。その未来を支える「食」の充実を守りたい。そのために、「食を支える人」自身の人生の充実を応援している。」団体だから。
街中と違い、ここに足を運んで、普段とは違う環境に身を置いてほしい。海を眺める状況で調理できたり、シェフや食に携わる人同士が議論できる場所として拠り所にしてほしい。本気で向き合い、楽しめる場所であってほしい。
一般的なロジックでなく、あえて高地に厨房を設えることで、美しい眺望があり、庭を眺めながら一段一段踏みしめ辿り着く高揚感のある配置計画。その選択によって生じる様々な課題を解決しながら設計に落とし込み、専門的アプローチに繋げた。私たちは図面とともに模型やパースをつくり、建築のあらゆる形状やディテール、景色を検討する。海や周辺の山など環境をぐるっと取り込む模型を用意し、様々な角度・シーンでデザインレビューを行った。
建築も、2つの2階建ての建物の間に抜けをつくりロゴと同様のメッセージを込めている。

ともにつくる

クライアント、私たち、工事関係者、携わってくださった多くの方々
みんなで投げかけながら、問いの中で、より良いものをつくる。
出会いからあっという間に感じるほど・・ 一丸となって、とても充実した日々だった。

その選択は、未来へつながる道

建築をつくるとき、私たちは、クライアントとともに、膨大な素材・材料を選んでいるとも見ることができる。その選択は、常に比較・検討し選んでいる。相当に根気のいる作業だとも思う。デザインをするということは、カッコイイだけの基準では選べない。ただ、全ての部品には選ばれる理由がある。ここは離島であることからも、メンテナンスや代用が容易なことも重要な視点に据えた。つくった瞬間が最高といった美意識ではない。私たちは使うこと、使われること、風化にも目を向けた。グローバルな時代の中のローカルの意味も考えた。具体的な対応ができたかはわからないけれども、今の時代を生きるものとして、環境への配慮へも想いをめぐらせた。そういう様々な思索の先に、ものを選ぶ。私たちは常に、どちらかの道を選んでいるのだから。

豊島には「豊島石」がある
石材職人との対話 丁場も見せていただきながら石を建築に生かす

ストーリーのあるもの、環境負荷が極力少ないもの、自然と共生できるもの。私たちは、多くの選択肢の中から「島だから」「この施設だから」「今だから」クライアントとの対話のなかで選択を積み重ねた。例えば、アメニティの一つ「歯ブラシ」の選定にもルールやビジョンが必要。ハードだけでなくソフトの構築も伴走しながら、言葉や構想を形にしてきた。「豊島石」も、初めて豊島を訪れたときから島の特徴や産業をヒアリングするなかで縁があったもの。島で唯一の石材会社の方々に協力していただき、花崗岩にはない柔らかく温かみのある風合いや細かな加工に適した粘りを活かしながら、訪れる人を迎えるエントランスの階段の仕上げに採用した。瀬戸内の地元の希少な石材を建築に取り入れたことで、多くの人が触れて後世に紡がれていくと思う。

木材は岡山県北の西粟倉産
この山には、瀬戸内海へそそぐ源流のひとつがある 遠くてもつながっている
木の建物をつくるにあたり、私たちが暮らしている岡山県県北の西粟倉の木材をセレクトした。人口1,500 人ほどの村は、新しい取り組みを含む林業が盛んで若い人たちが集まり、「百年の森林構想」のもと山が耕されている。視察では、木材や森の勉強とともに森や製材の現場も見学した。この地で50 ~ 70 年ほど育まれた木が、豊島エスポワールパークに届き一部となった。少しでも、地球環境を整える・持続させることに繋がればと願っている。

 

 

Things「こと」

瀬戸内海を望むこの場所に新しいプロジェクトがはじまります。

福武美津子代表理事をはじめとする「一般社団法人 食で未来を創るアカデミー」のみなさんと構想してきました。
建築は企画構想から竣工まで、とても長い時間がかかりますが、地鎮祭というのは、いつも「ここまできた喜びと、これからはじまることへの期待」が胸に溢れます。

いまからつくるのは、「食」をテーマに研修や宿泊ができる施設です。が、限定的な未来へのゴールでなく、開かれ、可能性が拡がり続けるような場を目指しています。
ここを訪れる方、関わる方の「希望」が集まったり、生まれたりするような場になるようにと「豊島エスポワールパーク」と名づけられています。

===
和田デザイン事務所は、
◎空間デザイン
◎ブランディング(ロゴやホームページetc.)
で、このプロジェクトの実現に向けて参画しています。
特に、このプロジェクトのように、これからの時代・社会のテーマに対して、まったく例を見ない用途や機能を再定義し、なにをどうつくるかを対話と整理をしながら、具現化を支援することは、わたしたちらしいことだと、最近つくづく感じています。

ぜひ、豊島へ

Space「もの」

Future「みらい」

Contact Us

和田デザイン事務所へのご相談予約受付は、
下記のフォームよりどうぞお気軽にお寄せ下さい。